壺中天日乗

メモ帳

雑感

言葉・意味・世界

結婚式に参列した。そこで飛び交う愛という言葉は、いつも私を混乱させる。 愛とは何か。それは言葉だけがあって、内容はない。内容は人々の想像に任せられる。その事実はしばしば人を混乱に落とし込むかもしれないが、それは問題ではない。人々に世界との関…

リアルゴールドの謎

最近思うところがあって(ってただの個人的興味だけど)よく自動販売機を観察しているのだが、ひとつ気になったことがある。 それは「リアルゴールドの存在」である。 自動販売機を注視するまでまったく気づいていなかったのだが、驚異の存在率である。三台…

ベンヤミン『複製技術時代の芸術』

以前読んだことがあったのだが、その時はなんかよくわからないなって感じだった。最近再読する機会があり、読んでみると色々思うところがあった。 とりあえず要約を作ったので以下に載せる。ちなみに読んだのはベンヤミン『ボードレール』(岩波文庫)に収録…

芸術作品の贋作騒動について

芸術作品の贋作騒動を見るたびに芸術とは何かと考える。芸術作品の値段が作者や鑑定書で決まるのなら、芸術作品の値段は作品それ自体ではなく、かなりの割合が権威由来であると考えざるを得ない。 はっきりいってこれは胡散臭すぎるし、アホラシイとすら思う…

打ち切り漫画について

我々が打ち切り漫画に惹かれるのは、それが人生に似ているからではないか。 我々は人生の終点を知らない。しかし複雑に入り組んだ人生の物語がまさに入り組んだままゆっくり消えていくという「あの感じ」はそこそこ生きていると人間誰しも経験しているものだ…

最近のアイドル事情について考えた

昔はアイドルってそんなにいなかったけど、最近は猫も杓子もアイドルって感じで、とりあえずアイドルってつけとけって感じのコンテンツ化が著しい昨今ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。私はたまにラジオとか店(主にドラッグストア)の有線でアイドルっ…

もっと美味しそうに食べたら?

「もっと美味しそうに食べたら?」とよく言われる。 本当に美味しい場合にも言われる。 つまり伝わってないらしい。 それ以来、本当に美味しいのに、美味しそうに食べる演技を強いられている。これがホントにイヤ。せっかく美味しいのに「ああ演技しなきゃ」…

怪談が語るトラウマ

最近寝つきが悪くてどうにも調子が狂う。おそらく熱帯夜だからだろう。連日変な夢が多いような気がしている。しかし憶えていないので、本当のところは分からない。ただ、朝起きると「ああ変な夢だったなあ」と思い、そのときは夢の内容も覚えているのだが、…

古書と私の未来の思い出

電子書籍はこれから隆盛すると思う。それに伴い、紙の本は減少し、古書はますますマイナーなモノになっていくと思う。そう考えたときに、私は古書を買うなかで経験した様々な出来事――たとえば買った本に署名がしてあったり、サイン本だったり、自作の変な栞…

「お前が言うな」について

「お前が言うな」的状況は、よく考えれば、発言内容が妥当であれば、相手が誰であろうと、冷静に自己検討すればいいだけの話であり、またその方が自分のためになるのだが、実際にはなかなかそう出来ないわけで、その理由は、解剖学的に見て、脳は「感情の部…

拷問者の精神生活

ハロルド・ピンター「何も起こりはしなかった ―劇の言葉、政治の言葉」 (集英社新書)に載っていた、以下の文章について考えてみる。 拷問者が音楽好きで自分の子供たちには非常にやさしい人間だという事実は、二十世紀の歴史を通じて明白に証明されてきまし…

政治の言葉づかい あるいはネット上での議論について

ハロルド・ピンター「何も起こりはしなかった ―劇の言葉、政治の言葉」を読んで以来、政治の言葉について考えている。 そして、以前読んだ本の以下の箇所を思い出した。 養老孟司 さっきも言ったように、良し悪しの判断は、脳の中でも言語とは違う部分に入っ…

思考とエディプスコンプレックス

頭の中では考えは明確になっているのにいざ文章にすると不明瞭になるという不思議をよく経験する。 おそらく文章は頭の中にあるときは生理感覚と結びついていて意味充足状態にあるのだろう。 文章にするときに言語へのコード化が起こりその過程でまた、軋轢…

モノマネ芸人に託された使命

俺は以前このようなツイートをしたことがある。 前田敦子のモノマネする人が人気みたいだね。テレビでみたけど、なかなか悪意あるね。あの人がこんなにすぐに人気が出たというのは、前田敦子に対する世間の目がいかに意地悪であるかという事をよく示している…

未成年の主張、あるいは大学教育について

こんなニュースがある。 桜宮高生徒、涙声で不満訴え「私たちの声聞いてくれなかった」 「本当に残念。言葉が出ない」。大阪市立桜宮高の体育系学科の募集中止を受け、同校の運動部の元主将ら、3年生8人が21日に市役所で記者会見した。「私たちの声を十…

掌編の時代

古本屋でいつもどおりあれこれ物色していたら、「日本プロレタリア文学集」の端本数冊が目に入った。箱の裏に収録作品が載っていたので確認していると、ふと目に留まるものがあった。「日本プロレタリア文学集・第20巻 『戦旗』『ナップ』作家集 ⑦」の収録作…

なぜ香具師は神農を信仰するのか?

「香具師の生活」という本を開いたら、表紙をめくるとすぐに神農の写真が載っていた。なんでも、香具師の信仰の対象となっているらしい。そして、本書には香具師の歴史が述べられているのだが、なんと古代中国にその起源があるという。 神農(しんのう)は古…

今回の選挙で思い出した事

今回の選挙をTVで見ていて、「世界の名著」(中公新書)のトクヴィル「アメリカのデモクラシー」のパラグラフを思い出した。 「アメリカのデモクラシー」は文字通りアメリカのデモクラシーを分析した本である。 成熟した大衆社会は、「諸条件の平等化」が起…

松本ハウス

SHOW-1グランプリ2012で松本ハウスのコントを見たんだけど、凄く印象に残った。統合失調症ネタなんだけど、なんていうか、統合失調症の世界っていうのは、人間の精神生活を常人の200%で出力したような、うまくいえないけど、ある種の懐かしさを感じた。神…

セカイ系

セカイ系って文学的にいうと、時間的にも空間的にも把握の仕方が稚拙だし、世界観も極端なのだが、別の言葉でいうと、小児的ともいえる。つまり夢の世界と相通ずるものがある。 なんとなくキモチ悪いと思いつつも、セカイ系に何故か惹かれてしまうのは、夢の…