他人事ではないダブルバインド その傾向と対策
こんな記事を見つけた。
働くモノニュース : 人生VIP職人ブログwww
「言い訳すんな」の理不尽さ
http://workingnews.blog117.fc2.com/blog-entry-4768.html
これは典型的なダブルバインドである。
~以下引用~
ダブルバインド(Double bind)とは、ある人が、メッセージとメタメッセージが矛盾するコミュニケーション状況におかれること。
理論の背景
生物の間で交わされるメッセージには複数のレベルが存在することをラッセルのパラドックスなどを通してベイトソンは明らかにした。例えば犬がたわむれにかみ合うとき、
- これは「かむこと」を意味しているというメッセージと
- これは本気で「かむこと」ではないという、メッセージについて言及するメタメッセージ
があるというものである。これらのメッセージを区別するためには、バートランド・ラッセルの論理階型理論が用いられる。
理論の内容
- 2人以上の人間の間で
- 繰り返し経験され
- 最初に否定的な命令=メッセージが出され
- 次にそれとは矛盾する第二の否定的な命令=メタメッセージが、異なる水準で出される
- そして第三の命令はその矛盾する事態から逃げ出してはならないというものであり
- ついにこのような矛盾した形世界が成立しているとして全体をみるようになる
誤解を承知でわかりやすく例えると、親が子供に「おいで」と(言語的に)言っておきながら、いざ子供が近寄ってくると逆にどんと突き飛ばしてしまう(非言語的であり、最初の命令とは階層が異なるため、矛盾をそれと気がつきにくい)。呼ばれてそれを無視すると怒られ、近寄っていっても拒絶される。子は次第にその矛盾から逃げられなくなり疑心暗鬼となり、家庭外に出てもそのような世界であると認識し別の他人に対しても同じように接してしまうようになる。
そして以下のような症状が現れる、とした。
- 言葉に表されていない意味にばかり偏執する(妄想型)
- 言葉の文字通りの意味にしか反応しなくなる(破瓜型)
- コミュニケーションそのものから逃避する(緊張型)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%80%E3%83%96%E3%83%AB%E3%83%90%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%89
~引用終わり~
ダブルバインドは「相手を沈黙に追い込み、支配するのが目的」という極めて黒いテクニックである。
典型的に用いられるのは、
家庭 親-子供、夫婦
恋愛 恋人同士
学校 教師-生徒、先輩-後輩
軍隊 上司-部下
職場 上司-部下
においてである。
相手を支配したいという人間はよくダブルバインドを用いる。
対策としては、「こういう状況にならないように日ごろから気をつける」であるが、この世知辛い世の中、どうしても逃げられない場合もある。
そういう場合には、「逃げる」である。
学校で先生に怒られた不良が「うるせえ」といって逃げるのは、実は正しいのである。(もちろん先生に怒られるような事をしないのが一番だが)
しかし、職場や軍隊では逃げることが難しい。
そういう場合は、「予想外の行動」である。
(例)泣き出す。死んだフリをする。錯乱する。心臓を押さえてうずくまる。神の声を聞く。狐に憑かれる。邪気眼を覚醒させる。影羅を呼び出す。等
しかし、なかなかこういうアクロバチックな大技は出来ない。
さしあたっては、始終殊勝な態度を取って、相手が疲れるのを待つしかない。
この状況になると、相手の気が済んだ時が終わった時なのである。この際に重要なのは、相手の言いなりにならない事である。辛いとは思うが、そこをなんとか踏ん張ってもらいたい。もうなにもかもどうでもよくなるかもしれないが、そう思ったら負けなのである。
家庭において、子供にダブルバインドをすると、子供はコミュニケーション能力を致命的に損なわれるので、してはいけない。
恋人にダブルバインドをすると、一緒にいるのが嫌になって、おそらく振られる。
対象を調教したい場合は、有効だが、嫌われるので、やめておいたほうが無難である。
嫌われたいのなら使えるが、そういうことは考えないほうがいい。
*追記
夫婦間におけるダブルバインドに興味のある向きは、島尾敏雄「死の棘」を参照されたし。
冒頭における妻のすさまじい詰めっぷりにはもう笑うしかない。
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