ドストエフスキー「罪と罰」(新潮文庫)
読む前はものすごい衝撃をうけるんじゃなかろうかと期待していたせいか、意外と普通な印象。でも心理描写と人物造詣は凄かった。
みんな濃すぎ。これが噂のポリフォニーかと感心。
にしても始終人が主人公の前に現れるのが演劇みたいだった。登場人物がみんな主人公みたいに思えた。
筒井康隆の「虚人たち」は登場人物がみんな主人公として振舞っていたが、こちらのほうが成功していると感じた。
ストーリーはあんまり重要じゃないと思った。みんなの語りに身を委ねればなかなかいい心の旅が出来る。
本を閉じてからの世界は少し違っていた。
再読したらもっと面白いだろうな。登場人物達の「語り」には訳の分からない部分が大量にあって、それがいまだに引っかかっている。結局理解できないかもしれないが、考えることから色々教えられる予感がする。
あとドキュメンタリーとしても面白かった。神が身近すぎ。当時のロシアってこんなんかと。
- 作者: ドストエフスキー,工藤精一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1987/06
- メディア: 文庫
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