壺中天日乗

メモ帳

怪談が語るトラウマ

最近寝つきが悪くてどうにも調子が狂う。おそらく熱帯夜だからだろう。連日変な夢が多いような気がしている。しかし憶えていないので、本当のところは分からない。ただ、朝起きると「ああ変な夢だったなあ」と思い、そのときは夢の内容も覚えているのだが、やがて「変だったなあ」という感覚だけ残って、あとは消えてしまうのである。
夢日記を私は書かない。昔それをやると頭がおかしくなるという話をどこかで聞いたからだ・・・というか、そもそも書き記す必要性を感じない。
悪夢がもたらす「怖かったという感覚だけ残ってそれ以外は消える」という感覚が気持ち悪いのは、トラウマと同じだからだろう。
トラウマも要するに「恐怖心だけ残ってあとは消える」というものだった。そして、その原因が分からないからいつまでも苦しいのだ。

『牛の首』という都市伝説の気持ち悪さもそこにある。

『牛の首』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%9B%E3%81%AE%E9%A6%96

『牛の首』が気持ち悪いのは、恐怖の構造がトラウマと同じだからだ。『牛の首』とはつまり、主体から抜け出た、引き受け手のいない、さながら幽霊のようにさまよう、「純粋なトラウマ」なのだ。