壺中天日乗

メモ帳

野良猫の逢引のこと

最近、野良猫がさかっている。
陽もすでに落ちたある夕方、俺は野良のトラ猫がさかって赤ん坊めいた声で鳴いているのを見た。しばらくうえぁうえぁ鳴いていたのだが、ふと俺は遠くで同じような声を聞いた。どうやらトラ猫の声にあわせている。しかもどんどん声が近づいてくる。
近づいてくる声の方を見ると、やがて白い猫が姿を現した。
トラ猫は俺の両脚のあいだにはいったり、白猫から遠ざかろうとしたり、なんだかやる気のなさそうな動きを見せながら、徐々に白猫に近づいていく。
こりゃ交尾か?だんだん接近する両者。猫の交尾が見れるのか?と思ったら白猫が逃げ出した。暗闇に逃げる白猫。追うトラ猫。白猫の逃げ方は逃げるというより、暗闇に誘導しているように見えた。交尾は暗がりでやるのだな、とそのとき思った。
やはり猫も場所を選ぶのだ。
ずいぶん昔に犬の交尾を見たことがあるが、犬はあまり気にしなかったと記憶している。
猫は神経質とよく言われるが、あらためて納得させられた一件であった。